初バイク・ソロツーリング2013:知床リベンジ編

  • 2013.10.11 Friday
  • 01:34
 長いバイク歴で、アメリカ人の友人ライダーとタンデムする以外、ほとんどソロでしかツーリングをしなかったわたしに、去年はじめて猿股Y弟子というバイク弟子ができた。まぁ、実は大学時代からの、40年来の阿呆友である。何をトチ狂ったのか退職直前にバイクの免許を取るという愚かな行為に走ったのであった。

 わたしは師匠と呼ばれ、クレオパトラのように鼻た〜かだか、彼の前ではそっくり返って、有頂天になっていたのだが、没落はあっという間にやってきたのである。一緒に行った知床ツーリングで、左折時、縁石にステップをぶつけてバイクを転倒寸前に追い込む情けない事態を起こてしまった。(そのいきさつはこちらをご覧ください。)

それ以来、猿股Y弟子は、怪しからぬことに、師匠であるわたしの振る舞いに、ことあるごとに疑惑の目を向けるようになった。かくなる上は起死回生のリベンジ・ツーリングをするしか師匠に残された道はなかったのである。

 知床へ。諸般の事情で午前10時10分、遅い出発になった。ドゥカティ・モンスター
S2R1000、2度目のロングツーリングになる。前回とは全く逆のコースをたどることにした。わたしの書く地図を分かりずらいという方向音痴の方が多いので、今回はホレ、フォトショップで加工しましたがな。←ホントはわたしがひどい方向音痴。デパートのような大きな建物を出るともう道がわからなくなる。

 遅い出発になったのと高速性能を試すために、丸瀬布まで高速を使いことにした。なにせ目論見では知床峠の夕陽を見て今回仕事で来れなかった猿股Y弟子を羨ませなければならない。前のカワサキZZR1100に比べるとネイキッドということもあって、やはり直進安定性は弱い感じだ。高速で路面が荒れているところでは片持ちサスの特徴なのか、後輪の中心がヨレたような妙な挙動をする。気にするほどではないけど。

 ドゥカティ独特のLツインの打楽器のような鼓動とエンジン音が、一速は一速の、2速は2速の重厚さで、6速は6速の、無限に伸び続けるようなパワーを見せながら、軽やかに楽しめるのだ。すべてのギヤでそれぞれ別の体感を得ることができる。ふつう高速走行はだらだらして眠くなるのだが、中古とはいえさすがイタリア職人のバイク、乗っていて飽きも眠気も起きない。

 ホンダの直列4気筒エンジンが、精密時計のように、ストレスなくどこまでも回るモーターのようなすごさで、こんなものを作った、背後の人間のすごさを思い浮かべてしまうとしたら、ドゥカティは、人間蒸気機関車・ザトペック(誰も知らねえし
ムスっ )のようなエンジンである。そこに鼓動し、ひとつの生命のように、もともと存在しつづけるエンジンがあるって感じだ。

 高速終点の丸瀬布まで約200km、およそ2時間で到着した。天気は予報以上にますますの快晴。現在時刻、正午10分、知床峠まで170劼曚匹世ら、午後3時半ころまでには着きそうだ。

 その後佐呂間・遠軽を抜けて小清水の方へ出た。遠軽にはパソコン師匠・ドラえもんK坊がいるのだが、若い女性の職場に、バイクに乗ったアヤシイおっさんがひとり訪ねても評判を悪くするだけなので、Y弟子と一緒の時に訪ねることにした。
 30年前よく走った山間の道は、すっかり整備されて、記憶の中の景色と合わない。山沿いの高速よりのコーナーを、軽量なドゥカティは右に左に、気持ちよくコーナーをクリアしながら走り抜ける。
 ついに海岸沿いに出た。

 そのままほぼ直線の道路を走る。走るバイクと自分の黒い影が、左のアスファルト路面に映る。ソロツーリングのひそかな楽しみの一つだ。前輪の接地面から延びる影が、時刻とともに姿や長さを変え、位置をずらしながら、何かを語りつづける同伴者のように、バイクとわたしのまわりをいつまでも伴走する。

 小清水のあたりだろうか、ちょっと景色のいい場所で休憩しよう。

soro5.jpg
 ハーレーに乗った若者が話しかけてきた。神奈川から来たとのこと。

 「泊まるところも決めないし、行先も決めずに風景のいいところをみたらその道を行くんです。」

 いいですね、とわたし。わたしも若い頃よくやりましたよ。(いまは仕事や後のことを考えてやれないけど、とこころの中で言う)若いうちにしかできないかもしれませんね、とつづけると、そう思って来たんです、との答え。気をつけて。

 先にヘルメットをかぶり、斜里に向かった。

 ヘルメットの、すこし開けたシールドの隙間から、磯の強い香りや、湿った草の匂いが流れ込んでくる。海岸沿いは高速コーナーが続き、車が恐ろしい速度で、ドゥカティのすぐわきを走り去ってゆく。斜里町に近づき、去年ステップを直してもらったJAの修理工場を発見した。工事中だった。

 途中コンビニで、缶コーヒーを飲みながら、そこで買った、普段は吸わない煙草を一本、ゆっくり吸う。この間観た、宮崎駿の最新作『風立ちぬ』でたばこを吸うシーンが多すぎるという批判を思い出す。こういう的外れの非難が出る根拠は、そもそも、この映画内で成立させた世界が、現在の世界価値とかつての戦時下の世界価値を、ふかい意識のないまま恣意的に接ぎ木・混交しているせいだ。今まで見たアニメの中で、最高というぐらいすごい絵だったけど、彼の社会意識に対して、苛立ちや悲しみがわくのは否定できない。

 天気は快晴のまま。斜里を過ぎ、ウトロに入る。海岸線に薄い雲が立ってきて、日の沈むのが見え隠れし始めている。峠の頂上からは夕日が見えるといいけど。慎重にスピードを上げて峠をのぼる。急に寒く雲が濃くなる。あたりは暗くなってきた。道の端に鹿が何頭かいるのが目に入る。ようやく着いた。



 残念。またしても夕陽を見ることができない。去年立ちごけした、因縁のところから写真を撮る。峠を下り途中で知床五湖に寄って、夕日が見えるか確かめることにした。ところが案の定道を間違えたらしい。行けども行けども五湖は見えない。しかもエゾシカが道路わきやコーナーの出口にやたらにいてたいそう危険である。あきらめて引き返した。

 オホーツクの海の向こうに、夕日が雲の間から見えた。 

soro3.jpg
 さらに峠を下ると少しガスが晴れてきた。ウトロの港を撮る。

soro2.jpg
 明日は早朝に出発するつもり。ウトロの街中で給油して、友人のホテルへ向かった。今年春に、店長の出村が、かわいい奥さんと子供を連れて知床に遊びに行くので、何とかしろと言ってきた。しかたなくわたしは友人のホテルに巨大蟹を用意させたのだ。ところは大ウソつきの出村は家族を置いて友人と出かけてしまったことをわたしの秘密情報網が察知。あまつさえ、その巨大蟹を友人にも秘匿して、部屋の押し入れでこっそり食べたのである。とはいえ、その費用を払わねばならない。

 ホテルの受付には、去年も会った・目鼻立ちのくっきりした・猿股Y弟子の美人教え子がいた。驚くべきことにわたしの顔を覚えていた。わたしには逆立ちしてお腹を揉んでもできない芸当である。友人には来たことを教えないで、と固く念を押したのであるが、バイキングで見つかってしまった。なんか後姿が似た男がいるなと思ったけど、髪が白くなっていたのでわからなかったよと、上客であるわたしに対して、失敬な事をほざくのであった。

 その後彼の自宅へ行って、ビールを浴びるほど・6速フルスロットルの速さで飲んだ。学生時代の話しやら、われわれと同世代の・口先だけのショウモナイ政治家の話しやら、商売の話をして、いつもより早めにホテルに戻った。朝早い出発なので早く寝るつもりが、ホテルに置いてあった辺見庸と城山三郎の本が面白くてやめられず読み終えたら朝の5時もまわっていた。学生時代の友人と話すと興奮して、そのあとも学生の時のような行動をとるんだろうか。

 しょうがないので、自慢の翡翠大浴場へ入って頭をすっきりさせた。朝食をとり、彼の奥さんで大学の同期のMに挨拶して、睡眠時間1時間半で、阿寒・弟子屈方面に向かった。例年になく、紅葉は遅れているのがわかる。阿寒の峠、ほぼ直線の下りで写真を撮る。
soro1.jpg
 この後、山間の素晴らしい景色の中、連続した中高速コーナーを走り、Lツイン独特の鼓動と、歯切れのいいエグゾースト・ノートを満喫した。足寄まで飛ばし、高速に乗って札幌の猿股Y弟子の家に到着したのは、夕方5時ころだった。二日間で900劼鯆兇┐詢垢鮟砲辰篤鷽佑粘デ佞鬚靴拭その後大学時代の友人・Hが宴に加わって旅はおわった。

補注:今回の旅の最後は、猿股Y弟子の家で泊まった。もちろん旅とバイクの自慢をするためである。寝る段になってズボンを脱いではじめて気づいた。どんな悪魔の仕業か、旅立つ前にはいていた防寒用モモヒキを、はいていない。ホテルに置き忘れたのか? ライダー阿呆おや爺と言えども、そこまではボケておるまい。もしやあの伝説の下穿き盗賊・オチョボアベに盗まれたのであろうか? 実はホテルの部屋で、脱いだ靴下を見つけられず、売店で買う羽目になったのであるが、靴下どころか、まさか股引の存在すら忘れていたとは!!_| ̄|○ 
 これからは猿股捨ててこ師匠と名乗ることにしよう。猿股Y弟子とお似合いの師匠というべきか。パンダ
コメント
こんにちは。楽しく読ませてもらいました。写真が綺麗でオシャレなブログですね。このブログを今後も参考にさせてもらいます。ありがとうございました。
 す、すみません。萌音様、暖かいコメントありがとうございますぅ。コメントに気づかないまま数年経ってしまいました。コメント管理が一番調子悪い時だったのかなぁ、スクリーン上で、いつかまた出会えることを!
  • おや爺
  • 2019/11/09 9:39 AM
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