たぁ〜がやぁ〜!:落語のたのしみ

  • 2009.03.10 Tuesday
  • 16:51
 先だって古い友人のお母さんが亡くなり通夜で札幌へ行ってきました。遅くなったのでいっしょに来ていた大学時代からの友人Yのうちに泊まることにしました。

 夜中二時まで酒を飲みながら話し込んで、彼の隣りの部屋で眠りについたのですが、暗がりの布団の中で、母親を亡くした友人のことを考えていたら珍しく目が冴えてしまいました。 よしやがれ……

 かすかになにやらきこえるのです。「……するてぇと…、なにかい…」あぁ、とうとう幻聴まできこえる歳になったか悲しい と思って耳を澄ますと隣の彼の部屋からもれてくる落語でした。

 あとで彼に聞くと寝る前に落語を聴いているとのこと。以前私も落語を聞きたくなって安いCDを買ったことがあるのですが、音源が悪くて何を言っているのかさっぱり聞き取れなかったという苦い経験があります。

 彼によると今はデジタル再録できれいに聞けるというのです。そんな訳で彼に送ってもらいました。自分の生活はだらしない男なのですが、他人には誠実でこまめな男なので定期的に送ってくれるのです。グッド

 古典落語「たがや」は、江戸は両国の川開きの花火を見に来ている人でごった返している橋の上が舞台です。夜空に浮かぶ大きな花火を見ると叫ぶ、「たぁ〜まやぁ〜」の両国橋の上です。ごったがえす橋の上で、桶のたがを直す職人・たが屋が、他人に押された拍子に道具箱を落とし、はじけたたがが、ちょうど馬に乗って通りがかった殿様の笠をはじき飛ばしてしまいます。殿様とおつきの侍は激高して屋敷に来いと引っ立てようとします。
 そこへ行けば、たが屋は首を斬られてしまいます。

 たが屋は長屋に歳をとった目の見えない親が待っているので必死になって謝ります。何度も額を地面にこすりつけ涙ながらに必死で侍にお詫びしますが、どうしても侍は許しません。

 わたしは五代目志ん生と三代目金馬の二つのバージョンを持っていますが、この前後の情の入れ方は、たとえて言えば志ん生がフルトベングラー調、金馬は現代指揮者風です。でも志ん生は後のたが屋と侍の丁々発止のやり取りをはしょっているので、その点では金馬の方が面白いでしょう。

 我慢を重ねたものの、とうとうたが屋は腹をくくり、反撃に出ます。ここからが聞きどころ聞かせどころです。
たが屋:(涙ながらに)この通りでございます、ご勘弁おねがい申し上げ…
侍  :くどい! 勘弁ならぬ!

たが屋:……(しばし沈黙の後、声色がかわって)するとなにかい、えぇ、大のおとこが橋台(はしだい)の上でひら蜘蛛のように、額に泥ぉつけて頼んでんのに勘弁できねぇって……よしやがれ、まるたん棒め!
侍  :まるたん棒とはなんだ。

たが屋:血も涙もねぇからまるたん棒だってんだ……どっからでも斬って見やがれ、さぁ!、首から斬るか、けつから斬るか、どこからでも斬ってみろ! 斬ってスがあったらスのないとこととっかえてやりゃあ!さぁ、斬れ四六(しろく)の裏め。
侍  :なんだ四六の裏とは。

たが屋:三一(さんぴん:チンピラ・与太者)てんだ。たまにゃぁ、しまうときはサイコロの裏ひっくりけぇして勘定しとけ、あんけらそうめ(馬鹿野郎の意)。

侍  :無礼を申すと手は見せんぞ。(手が見えないくらい早く斬るの意)
たが屋:なに言ってやんでェ、見せねぇ手ならしまっとけ。

侍  :二本差しが怖くないか。
たが屋:江戸っ子が、二本差しが怖くって焼き豆腐が食えるか。(昔は豆腐田楽は二本の串だった)気の利いた鰻(うなぎ)を見ろい、五、六っ本差してるぞ、こんちくしょうめ。

侍  :大小(だいしょう:腰に差している二本の刀)が目に入らぬか。
たが屋:あたりめえだ、そんな大きなものが目にへぇるか。そんな長え(なげぇ)ものが目にへぇりゃ手妻づかい(てづまづかい:手品師)になっちまう……侍が怖くって忠臣蔵が見れるかい、斬れ!

 さぁ、まわりの見物人はたが屋に大声援、といってもその声援の無責任さも笑いにとるところが落語の凄いところと言えますか。とうとうたが屋、殿様の刀を奪ってすぱーっとひと振り、殿様の首はぴゅーんと宙に舞ったところで見物一同、声を揃えて、

 「たぁ〜がやぁ〜!」

 おあとがよろしいようで。
コメント
昨日は、宴会でお世話になりました。


お任せコースのおいしさに参加者から、歓喜の声で幹事もうれしい限りです。

また、宴会も個人でも行ってみたいと思います。
 うえ〜ん、ありがとうございます。(゚ーÅ) フキ 当店のおまかせコースは、固定した決まったコース料理ではなく、お客様の構成・ご要望をお聞きしながら決めていくので、実は、お食事が終えられるまで非常に不安な気持ちでいっぱいです。

 お客様のあたたかいコメントはプリントアウトしてスタッフのみんなに見せてうれしさを分かち合いたいと思います。 あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました 。
  • おや爺
  • 2009/03/14 12:38 PM
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