東京で:新型肺炎とマスク

  • 2020.02.27 Thursday
  • 00:13

                                   (北海道新聞2020年2月27日朝刊より)

 24日早朝から東京へ行ってまいりました。東京の冷麺店・いわゆるニューウェーブの蕎麦屋さんを中心に食べ歩きしながら、精養軒の冷麺の方向が、思っている以上に面白いのではないかという感触を抱いて、先ほど(26日午後9時45分)千歳空港に戻ってきました。

 この24日からの3日間は新型肺炎に対するテレビ政府機関の反応が、日々激変している感じを受けました。

 

 東京を歩いてこんなに人が少ないのは初めてです。最初は休日のせいだと思っていましたが、次の平日も、まず電車に満員の光景がありませんでした。目に入るどの店も閑散としています。時間ごとの手洗い・アルコール噴霧の励行・マスク着用・顔に手を触れないなどできる限りのことはしていたので、最初は精神的にはまったく安定しておりました。

 

 ところが、いつも見ないテレビをホテルで見たいるとほとんど新型肺炎のニュースです。電車の中では2分の3くらいがマスクをしている感じです。清浄なところから、自分がすごい汚染されたところに来ている気持に、じわじわなっているようでした。

 ちょっと待てよ、住んでいる北海道の方が、患者が今のところ多いはずじゃないか。よその場所や人に恐怖心を持つのは偏見じゃないのか、おや爺よ。

 罹った人をバッシングしたり、嫌がらせするのと同じじゃないのか。

 新橋のSL公園の前で、友人と一緒の写真を撮ってくれた若い方が、たまたまテレビ局の人でした。新型肺炎のことを聞かれてそんなことを答えました。

 

 ここに住んでいる人たちは、そんな報道・事態の中で、日常の生活をし、普段より少なくなっているとはいえ、街を歩き、買い物をし、何気なく笑ったり話をしている姿もたくさん目に入るじゃないかなんて思いなおしました。欧米人のマスクをしていない姿に妙に安心もしました。

 

 自分もマスクをしているくせに、電車の中でマスクをしている多くの人々を見ていると、東京に来た初日は、他人を拒否しているように思えていました。マスクに隠れて、じぶんが、自然に不機嫌な顔になっている気がしました。

 

 乗っている電車が正しいのか不安になり、40代くらいの女性の方に電車が日比谷駅に停車するか聞きました。たぶん停まると思いますが、自分はその駅の前に降りるので、はっきりしませんとマスク越しに言われました。しばらく自分で地図を見て停まることがわかりシートに座りました。離れて座っていた彼女が、降りる駅に来たのか立ち上がりました。わたしのところに近づき笑顔で、停りますね、お気をつけてと声を掛けてくれました。思わず立ち上がり、中腰になってわたしも笑顔で、そうみたいですね、わざわざありがとうございます、お気をつけて、と答えたのでした。マスク越しにも、マスク越しこそ、当たり前ですが、旅の・こころに残る暖かな、一瞬の触れ合いもあるんですよね。

 

 地下鉄で見た、こころ惹かれた東京新聞のキャッチコピー。思わず写真でパチリ。

 『空気は、読まない。』いいですねぇ。忖度するばかりの世の中で、いかにもジャーナリストらしい心意気が出ていてカッコいい。新聞読まないけど、取ろうか知らん東京新聞……。

2月24日から27日までお休みです。

  • 2020.02.24 Monday
  • 00:01

 2月24日から27日の4日間はお休みです。

 東京へ行ってまいります。目的は二つ。お世話になったお肉のお師匠にお会いすることと、食べ歩きをしてまいります。新型肺炎に気をつけながら行ってまいります。マスクとうがい・手洗いをこまめにして戻ってまいります。

 

 パワーアップして28日からお店を営業いたします。

 ついでと言っては、何ですが……、限定自家製マンゴープリンの紹介です。濃厚です。

精養軒の位置。

  • 2020.02.20 Thursday
  • 23:07

 去年ようやくスマホデビュー。最近になって道路検索にグーグルマップを使うようになりました。するとどうでしょう。GPS機能(位置検索)というやつのせいなのか、わたしの現在位置が常にグーグルに送られているようなのですね。おや爺のように、店の二階に住んでいるとどうなるか?

 

 賢いようで間抜けなGPSは、毎日わたしが精養軒にいるので、食べに行っていると思っているんざんすね。そうすると勝手に(?)精養軒の評価やコメントを送れと催促するわ、精養軒の周りの地図が出てくるわ、まことにうるさい事態になっております。地図を見ると精養軒の脇に小さく<焼肉店 高級>と勝手に書かれているではあ〜りませんか!!  周りを見ると精養軒より高級なお寿司屋さんが、お手頃などと書かれております。

 

 おや爺、精養軒を高級にしたつもりはありません。ていうかおや爺は、親の代から60年以上続く街のホルモン屋の小倅であることを忘れたことがありません。当たり前ですが、高級店を経営する技量も才覚もありません。

 精養軒は、韓国や北朝鮮にもない、北海道の精養軒でしか味わえないものを出せたらなぁ、と思っています。大衆店だけれども、普通の市井の人がハレの日に食べに来ることもできるし、ただ焼肉・朝鮮・韓国料理を食べたくて来ることもできる店でありたいと願っております。

 

 そもそも高級店に、190円のスープはありません。290円のキムチもありません。380円のジンギスカンやホルモンもないと思います。そのうえで、ハレの日にも食べられる値段設定で、特選和牛も置いています。そのために東京で和牛肉の勉強もしてきたのでした。

 

 先日手打ち蕎麦屋をやっている知り合いがほとほとボヤいておりました。ネットの評価がひどいと。確かに、おや爺も仕事上、手打ち蕎麦屋さんをめぐりますが、ネットの評価と自身の評価がずいぶん違うことが多いですね。というか、正直に言うと、自分自身の評価・価値基準も時間とともに変わりますけど。元々それほど関心がなかったのですが、ある事件がきっかけで、わたし自身は店のネット評価を見なくなりました。

 

 今から9年ほど前の2011年5月に、ユッケの食中毒で死者が出たことがありました。その時おや爺のブログで、事件が起きる3年ほど前に書いた記事、「精養軒にユッケ・レバー刺しがない理由」に一日4万件を超えるアクセスがあったのです。多くの暖かい言葉もありましたが、その中にはお褒めの言葉から、罵倒までいろいろありました。

 

 「こんな朝鮮人(注:おや爺のこと)なら友人になってもいいな」という、何と答えていいのかわからないものから、「食の神様」という、二階どころか、高層ビルの屋上にあげられたような、わたしを知っている者が見たら、気絶するようなコメントまであったのです。そして、あっという間に、何事もなかったように、日々のアクセス数は通常に戻りました。

 それ以来、ひととひとが、一対一で対応することを想定していない・コメンテイター自身の仕事の在り方と切り結ばない匿名評価は、見ないことにしようと決めたのです。もちろん、権力を持つ者に立ち向かう・横につながる人権の武器としての、匿名の歴史的重要性を否定するつもりはありません。

 

 精養軒でどれほどおいしく(?)安く食べられるか、メニュー巡りをする楽しいツアーができないものかしらん、なんて勝手な夢想すらしております。

 あっ、でも先日亡くなられた野村監督の名言に、『一流は叱って、二流は褒めて育てる』ってあるそうです。寄り道、わき道の精養軒、暖かく褒めて育てていただけるとありがたいですぅ。←勝手ばかり!!

精養軒ならではの仕込み三景:たまふくら・真空漏れ青大豆もやし・発酵コチュヂャン

  • 2020.02.20 Thursday
  • 08:36

 精養軒の自家栽培もやし用大豆の通年保存実験の最後です。真空冷凍保存が成功したことは最近のブログで報告しました。実は真空パックが漏れている状態のものが2袋見つかり、その大豆がもやしとして生育するか実験しておりました。

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 栽培器の中で4日経った状態。おぅ、うまく生育しそうです。

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 2週間後。成功です。いつ真空漏れしたかにもよるでしょうが、とりあえず真空漏れ冷凍パック大豆でも通年で良好な栽培ができそうです。横から見てみます。

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 まぁ、おいしそうな大豆もやし!! 一年以上たった旧豆とは思えない生育ぶりです。ワイン好きの料理おたく様、いろいろ貴重なコメントありがとうございました。さて、赤い丸印をつけた所。もやし業界では、見た目が悪いということで嫌われている紫色ですね。冷凍大豆だと色がさらに濃くなったようです。でも味に問題はない上、茹でると色が消えるので全く問題なし。

 

 函館で生まれた、幻とまで言われる新品種超大粒大豆・たまふくら。これも先日多分日本で最初(?)にもやし栽培に成功したことをお伝えしました。その名の通りの見た目、ふっくらとして超大粒。驚くほどの豆の甘さと、短いけれども太く、独特のシャキシャキした茎の食感は異次元のものです。ところが栽培があまりにも難しいので、やめようかなと思っていた折、お客様の、4歳のお孫さんが『おいしい』と追加されたのです。うれしいですねぇ〜。😂 すべてたまふくらではなく、いつもの枝豆青大豆もやしとのブレンドで、相乗効果を目指します。

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 10日後のたまふくらもやし。茎が伸びずに太くなるばかりです。たまふくら単独の写真ではわかり辛いですが、たぶん中国・韓国産大豆の10倍は頭が大きく感じるおや爺であります。

 

 精養軒独自の味を支える自家製発酵食材群の一つ・コチュヂャン。今まで写真記事にしていなかったのは、ただ忘れていたからでございます。😭 今や韓国でも日本の焼肉店のように即席コチュヂャンが増えていますねぇ。麦や米を発酵して作るのではなく、水飴・唐辛子・味噌などをただ混ぜて作るインスタントものです。

 精養軒では昔から家庭で作っていたオモニの作り方です。もち米を発酵させます。当然もち米粒々が入っておりますが、異物混入ではありません。

 画像的にちょっと気持ち悪い? あ、味はいいですぅ。

思い出の歌:木戸をあけて 小椋佳

  • 2020.02.13 Thursday
  • 23:02

 大学生になるまで、いつも家を出たい、親と離れて生きたいと思い続けていた。北海道の大学は端から選択肢になかった。今の若者がどうなのか知らないが、50年前の思春期には珍しくない思いだったのではなかろうか。

 わたしの場合更に個人的な事情が加わっていた。小、中、高校と、関係を失うのが怖くて、自分が在日朝鮮人であることを親しい日本の友人にも、だれにも打ち明けられずにいた。自分の存在に自信もなく、将来、就職の当てもなく、アイデンティティも不明なまま、行き先どころか出口もない、完全な四面楚歌のような気持ちでいた。

 

 いまも相変わらずふらふら生きる・間違いなくロクでもない人間なのだが、老年期に達して、そういうどうでもいい体験や思いがあるおかげで、少しは、梯子を外された存在や、蚊帳の外に置かれる人の気持ちがわかる人間になれたのだと思う。ひとの体験は、いつ、どこで、どう対価となって日々の生活に訪れるのか、たれもわからない。

 

 家出を試みる歌で、10代20代の前半によく聞いたのは、ビートルズの名曲she's leaving homeだった。いつか訳してみたい歌のひとつだ。もう一つこころに残った歌が、小椋佳の、この『木戸をあけて』だった。

 家を出たい気持ちは同じなのだが、心の底にある希望の大きさが、わたしとあまりに違うので驚いた。
 

裏の木戸をあけていつかつかれ果てて/あなたの甘い胸元へきっともどりつくだろう

僕の遠いあこがれ 遠い旅の終るときに/ 帰るその日までに/僕の胸の中に語りきれない実りが たとえあなたに見えなくとも

 

 若いわたしは、ただ、ここでないどこかに行きたかったのだ。この歳になって、身近なひとと、今を、ともに生きることに感謝しながら、ここでないどこかや、遠い何かに惹かれる気持ちは、なお消えていない気がする。

 木戸のある家に住んでもいないのに、ね。

木戸をあけて

 

あなたの後ろ姿にそっと別れをつげてみれば
あなたの髪のあたりにぽっと明かりがさしたよな

裏の木戸をあけて一人夜に出れば
灯りの消えた街角 足も重くなるけれど

僕の遠いあこがれ 遠い旅は捨てられない
許してくれるだろうか 僕のわかいわがままを
解ってくれるだろうか 僕のはるかなるさまよいを

裏の木戸をあけていつかつかれ果てて
あなたの甘い胸元へきっともどりつくだろう

僕の遠いあこがれ 遠い旅の終るときに 帰るその日までに
僕の胸の中に語りきれない実りが たとえあなたに見えなくとも
僕の遠いあこがれ 遠い旅は捨てられない

北海道新聞の記事から:『首相写真でマルチ勧誘』

  • 2020.02.12 Wednesday
  • 23:44

 家にテレビがないので何十年もほとんどテレビニュースを見ていない。最近は日本の新聞のニュース欄や政治解説もほぼ見ない。読むと、あまりに内向きな見解に愕然とするからだ。

 朝、郵便受けに新聞を取りに行ってしまい、たまたま目に入ったのが、このブログ記事の表題『首相写真でマルチ勧誘』のヘッド・ラインだった。

 穏やかに朝の寒さを迎えたいのに、仕方なく読んでみる。

 悪徳マルチ商法で業務停止命令を受けた札幌の会社社長と、安倍首相が一緒の写真を撮っており、その写真を利用して、会社及び一般会員がマルチ商法の勧誘・拡大に精を出していたという記事だった。

 

 わたしには、何度読んでも、安倍首相の何が悪いのか、一向によくわからない。わたしは日本の平和憲法は、世界に誇るべきもので、世界の憲法にしていいと思っているくらいなので、安倍氏の政治思想とは、多分全く違うはずだ。こう書くと安倍政権の支持者からも批判者からも非難されそうだが、マルチ商法の悪徳会社と深く関わっているのなら全く別の話だが、首相クラスの政治家が、怪しげなマルチ商法の会社の社長といっしょに写真に納まるくらい、(日本の)ごく一般的な政治家の活動としていくらでもあり得る、些末な政治的事実と思っている。

 

 こんな程度で、首相を辞任したり、弁解するのであれば、今後、共産党を含むどの政党の政権ができようが、長い、重要な政策を策定・実行する前に、似たような些末な出来事で、無駄に政権が瓦解するだけだと思うのは、政治的に無知なわたしだけなのかしらん。

 テレビなどのマスコミが、本来議論しなければならない、憲法や表現の自由にかかわる政治的な大事には、怯え・頬かむりを決め込むくせに、些末なことには、怪しげな民意正義に狎れ合い、しかも一面のヘッドラインで、鬼の首を取ったように、(実はこそこそ)非難するのは、あまりに姑息だと思う。

 

2020年最初のチョングクチャン(朝鮮の味噌)づくり

  • 2020.02.06 Thursday
  • 21:59

 精養軒の味は、韓国でも北朝鮮でもなく、今北海道でしか味わえない味を目指しております。その大きな基盤になるものは北海道・空知・岩見沢の選れた食材を使って、自家製の発酵調味料を作るところにあります。輸入した韓国の調味料を、<本場の味>の名のもとに、そのまま使うのでもなく、日本の調味料で代用するのでもない道を探りたいのです。

 

 以前、朝鮮食品学の碩学・鄭大聲(チョン・デソン)先生に、日本で作っているのはあんたのとこだけだろうと言われたことがあります。少なくても北海道産の大豆を使って作っているのは、うちだけだと思います。もともと、子供の頃から当たり前のように家庭で作っていたオモニのおかげですね。

 

 コチュヂャン(麹系発酵調味料)、テンヂャン(豆味噌系朝鮮味噌)、日本味噌などいくつかの発酵食品を作っておりますが、2020年初めてのチョングクチャン(納豆系朝鮮味噌)を2月4日16時30分から作り始めております。

 

 いろいろ試した結果、今のところ一回の仕込み最適量は乾燥大豆1圓任后8什澆蓮二段階発酵で、初回発酵56時間後に第二回の枯草菌を加えます。あとは味のチェックをしながら、24時間から30時間後に発酵を終える予定です。オモニから教わった作り方とはだいぶ変え、失敗することもなくなりましたね。劣等生とは言え、たぶんわたしが生化学を専攻したせいもあるでしょう。ありがとうございます、S教授。ご迷惑をおかけしたままで……。

 

 今ところ非常に順調な仕上がりです。ということは家じゅう、納豆の100倍ほどのにおいで充満しておりますね。休みだからいいけど……。

 汗をかいておりますね。茹でた大豆を発酵56時間経過したものです。中を見てみましょう。順調な発酵状態です。部屋の中は厳しい臭いですな。まぁ、うまいと臭いは紙一重という友人の名言もございますからね。

 これにさらに韓国系枯草菌を植え付けます。さらに厳しい臭いになるとでしょう。

 発酵後は粗塩を加えて熟成です。精養軒のユッケヂャン・チゲその他の一品料理の隠し味として、精養軒の味を支える・なくてはならない独自の自家製調味料です。

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